2014年11月13日木曜日

ナラボー横断〜8日間のサバイバル生活〜①

朝六時。
オランダ人とナラボーを共にするため、待ち合わせの公園に。
水10Lを積みいつもよりも自転車が重くなえる。


いよいよ、旅の最大難所ナラボー平原が始まるのだ。
約1200km、100〜200km何も無い区間が続く、野生の動物が多発、Road Trainが多発。

以上の情報を振り返るだけでも、鳥肌が立つくらい過酷な道である。

そして、オーストラリアを横断する際に避けては通れない道で、多くのベテランサイクリスト、老後の旅する夫婦でさえも苦戦する区間だ。


しかしそんな不安を抱えてはいたが、オランダ人カップルとオーストラリア人女性と合流し出発するとなんだか心強くわくわくしていた。


いざ、走ってみるとかなりペースが遅く、小まめに給水、食料を取る。
ナラボーに着くまで50キロおきのみ休憩を取ったり、朝昼抜いては走り続けたり、時間を気にしながらひたすら漕ぎ続けてきた自分のスタイルが完全に危険で、身体に良くないことが分かった。


ふらふらになった時は、食料、水分を小まめに取らないでエネルギーが尽きたためだったと発見し、これだけでもナラボーで生き残るために十分なノウハウであった。


そして、開始2時間でオーストラリア人の女性がパンクし、アデレードまでヒッチハイクするトラブルにみまわれながらも、初日はカップルの後をゆっくり走りながら終了した。

カップルによると、ナラボーは噂で聞く怖い話はほとんど嘘だというが夜ご飯を食べながら以下のことが分かった。


  • 野生の動物は夜中に活動するため日中に襲ってくることは無い(自分から攻撃しないかぎり)
  • 蛇は動かなければ噛んでこない
  • 水、食料がなくなったら、キャンピングカー、トラックの運ちゃんに貰えばいい
  • 多くの自転車で旅をしている人に出会う
  • Road Trainはよけてくれる(対向車線から車がくるときは道路から外れた方がいい)
  • ブッシュキャンプは最高だ
  • ナラボーはオーストラリアの中でベストなキャンプサイト

ナラボー経験者が言うのだから大分説得力があり、ナラボーに車で聞いていた噂は真実でないことが多いと分かりすこしほっとした。




そして、初日の夜はブッシュキャンプだ(道路の横にある茂みの中にテントを張る)


これまで蛇、サソリを敬遠してきたが意外にもこじんまりとしていて、毒性の生き物がでなさそうな場所だったため、安心した。キャンプサイトに日が暮れる前に着かなかったときの最終手段として、自分の中の引き出しができたのが嬉しかった。





2日目、朝5時起床。

カップルは4時半に起きて朝から楽しそうにしているが、寝起き低血圧な自分はすこしいらっとするも、1人で旅する方が楽だなと思い、途中から1人で走ることを考えていた。

それもそう、休憩、就寝前、テント張る前に目の前でいちゃいちゃされて、対応に困るし、知らない間に気疲れしていた。何人かで自転車旅をすることのデメリットもわりと大きいなとマイペースな自分は思った。


40キロ走ったところで、Roadhouseでゆっくり朝食を食べているカップルと別れを告げ出発。

いよいよ、1人でナラボーを走るのだなと思うと、なんだか寂しく心細くなってきた。

そんな心配をしているうちに、大きな試練が目の前に立ちはだかった。


オーストラリアで最長の一直線がこれから146キロ続くらしい。

実際走ってみると、なんだか迷路に迷い込んだかのように景色が変わらない。

両脇の森林、果てしなく続く道。

日中35度の猛暑。

道路の温度はおそらく40度を超えている。卵焼きでも焼けるのじゃないかと思うくらい。


自分との戦いでこれほど苦痛なことは今後ないのじゃないかと思うくらい10時間は知り続けていた。ナラボー1人デビューの日にしては負担の大きい出来事であった。




3日目、ようやく直線を超える。

まるで試練が終わった後のご褒美かのように、
立て続けにサイクリストと出会う。


①初めての日本人


この旅で初めての日本人で自転車を漕いでいる人を発見した。
ナラボーにきて良かったと一瞬血迷った事を考えていた笑

名前はあつとくん。
大学生で休学中。
ブリズベンのバナナファームでワーホリして80万貯めてKマートで自転車を購入するも一瞬で壊れる。

自分と同じ初心者なのにすごい度胸しているなと思いまた、同じ旅をしているのにおもしろいネタが沢山もっていてすごいなと感心していた。


②イケメンイギリス人

名前はサム。
日が暮れる一時間前に遭遇し、元気がでた。

シドニーまでの道のりを全く同じルートで逆方面から来ている事もあり、かなり情報を提供してくれた。

ナラボーの終着点であるCedunaは盗難が多い、
ナラボーを超えると日中45度に達する、
口の中に水分を求めてはえが入ってくる

など訳の分からない情報をくれた。

ナラボーを超えても油断するなということだろうか。


4日目、5日目、thunderstorm警報発生。

これまでのナラボーは割と追い風が多く助けられていた。
しかし、この2日間は本当に時速5キロといってもいいほどの早さでしか漕ぐ事ができない程、向かい風が強かった。これがオーストラリア横断するサイクリストの頭を1番悩ませる者かも知れない。

ひたすらこいでも進まない。

Road Trainとすれ違えば、転倒しそうになる。

死んでいるカンガルーの匂いが50m先からにおってくる。

はちが風に押されて近づいてくる。

など日中は本当に危険にさらされながら走りつづけていた。

夜は、暴風の中テントで寝ようとするも4時間も寝れない状態に。今までとは違った、恐怖とストレスが降り掛かってきた。何を乗り越えても、さまざまな苦痛が押し寄せてくるこの旅は本当に拷問だなと思いながら耐えた。


そして、ようやく710キロ走ることナラボーの中間地点に到着。
Euclaといい、丘の上にあり今まではしり続けてきた道を一望できる場所にある。

本当に何も無く、修行でよくいきのこったなと思うくらい壮絶な道に見えた。

そしてこの日は、大雨と嵐にさらされた。

海と、ナラボーが一望できる場所にテント張ったため、風にとばされそうになり、

雷におびえながらテントとトイレを30分おきに5時間も行ききしたのは本当に良い思い出だ。

もう二度と見晴らしのよいところにテントは張らない。
車の背後にはって風を遮るそう誓った夜であった。



<人に助けられ続け、勇気づけられる出会い>

ここまで、ナラボーを710キロ半分以上走った訳だが、

様々な人が、休憩中に話しかけてくれたり、水、食料をくれた。

彼らも旅人で車といえどサバイバルな生活を送っているわけで(自転車と比べたら贅沢なものだが)、そんな中でも余裕があるかのように必要以上にこれもっていけといわんばかりに沢山の補給食を貰い本当に助けられました。



自分自身に気合いだと言い聞かせてモチベートさせることも大事だけど、それだけでは漕ぎ続けず、人との些細な出会いがあって毎日150キロ以上はしろうという気持ちになれるんだな〜と思ったり。



サンドイッチ、チーズ、サラミ、水、チョコを大量にくれた夫婦

朝コーヒーとトーストをくれたおじさん

水を大量にくれた夫婦


ロードハウスで話した老後を旅し続ける夫婦の集団





残りのナラボー横断紀は次回へとつづく。


体重66.4kg(max80kg)
走行距離1510km




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